2007年2月17日土曜日

寿司という食文化

寿司は和食の中でも代表的なスタイルで、そのヘルシーさから世界的なブームを巻き起こしています。また昨年来、資源保存の観点から寿司ダネとして最とも重要な鮪が中国・韓国のグルメブームに火をつけ品薄、高騰が続きわれわれの楽しみから姿を消す心配が浮上しています。
寿司とはいったい何者なのか、外食産業の市場規模が約26兆円、うち寿司店が約1兆3000億円。更に自動化を取り入れ現代の食環境を変えた回転寿司は、5000億円市場と言われ寿司店全体の売上の3割を占めています。この寿司と世界を一度見直してみることにしました。

寿司はどうして生まれたの
紀元前4世紀頃から既に山岳民族のタンパク質をおぎなう方法として、米の中に塩味をつけた魚を漬けて発酵させた魚肉保存食があったようで、タイ北部(プラ・ソン)や中国南部には、今でも川魚と米を発酵させた食品があります。日本へは平安時代7-8世紀ごろ長江下流域から伝播したと考えらます。室町時代後期には、魚は発酵前で米飯もまだ飯として食べられる内に一緒に食べてしまう形に変わります。寿司は保存食から料理へと変化していきました。


Ⅲ 近世型 
早寿司江戸の元禄時代になると、酢飯を箱につめ、その上に魚介類を乗せて落し蓋をし、上から重しを乗せて数時間後に食べる「箱寿司(押し寿司)」が作られるようになりました。これは「早寿司」と呼ばれました。発酵を待っていられない江戸っ子気質が寿司に酢を絡ませたようです。

Ⅳ 現代型 にぎり寿司
江戸時代の文政年間(1818~1830)江戸では、江戸湾でとれた新鮮な魚(江戸前)を酢飯で握ったご飯にのせたにぎり鮨が中心となり飯に酢を混ぜ、魚だけでなく野菜・乾物などを用いて作るのです。寿司商、華屋与兵衛がわさびによりネタとシャリの味を引き立たせたのが寿司の大ヒットに結びつきました。 そして1923年の関東大震災により、被災した東京の寿司職人達 が故郷に帰り、日本全国に拡がっていったのです。出典: (安藤広重図)フリー百科事典『ウィキペディア』寿司より

高級料理に変身した寿司
寿司は、寿の料理として冠婚の席に祝いの料理として使われることが多く、夫婦で食べることから一品2貫が古来慣わしです。また、会席料理などと同様に心から客を最高にもてなす極地として、最高のネタを探していくと、知れずと高級食材となってしまう様です。 旬、最高の味、希少性、器、時、場所、もてなしの心を整えようとすると大量生産は困難です。食べるものと握るものは板場を境に心を読み合い、競い合うのです。ちょっと窮屈ですが、芸術の域に近づくのですから、値段もいたし方ありませんね。昭和40年ごろまでは、お寿司屋さんはこんな流れを汲んでいましたから、飲食店でも格が高かったのです。勿論、値段も高かった。私なんか親戚の結婚式や祝い事で年に一度寿司屋に連れて行ってもらい、チラシ寿司とカッパ巻きを頼んでもらえば、これ以上のご馳走はありませんでした。最近でも、家内と寿司屋に行きますが、このときは財布覚悟で行きます。食べ盛りだった子供をつれてゆくときには回転寿司が最適です。


回転寿司の到来が外食を変えた
大阪の立ち喰い寿司店経営者、白石義明が、ビール製造のベルトコンベアをヒントに、多数の客の注文を低コストで効率的にさばくことを目的として「コンベヤ旋廻食事台」を考案し、1958年大阪府布施市(現:東大阪市)の近鉄布施駅北口に最初の回転寿司店である「元禄寿司」を開きました。1962年12月6日、「コンベヤ旋廻食事台」は「コンベヤ附調理食台」として白石義明名義で実用新案登録(登録第579776号)されています。事業展開を西日本に限定した白石さんに日参して東日本でのフランチャイズ権を取得した故江川金鐘さんは、後に株式公開のために社名を元禄寿司から平禄寿司とさせてもらい傘下のお店を独立させました。1978年には回転寿司の特許が切れ、全国どこでも回転寿司の経営が可能となります。従来の寿司店の高級化傾向に対し、安さ、手軽さ、会計の明朗さで大衆客のニーズをとらえ、外食の重要な戦略業態となっています。

ぶらりと入った全国のお寿司屋さんです
函館いか祭り(函館市豊川町)/ 海天丸(函館市本通)/まわる寿司花館 (東京都豊島区南池袋)/ 新宿栄寿司 西口京王百貨店前平禄寿司 (宮城県仙台市青葉区一番町)/ がってん寿司 (埼玉県川越市鯨井)寿司銚子丸 (千葉県柏市)/ 海鮮処 寿し常 (埼京線赤羽駅ビル)魚がし日本一 (秋葉原昭和通り口)/ 築地寿司鮮 (4丁目場外市場店)双葉寿司 (静岡県沼津市千本港町)/ たか嶋(静岡県沼津市千本港町)元祖廻る元禄寿司本店 (東大阪市道頓堀)/ 寿司市場 (沖縄県北谷町美浜)


寿司の言葉(基本的に寿司職人の間での符牒:職人さんの用語ですから、ほどほどに) オアイソ お愛想。勘定をの意味。(本来店の人が使うのが正しく、客が使うのは誤り)
 ガリ :甘酢に漬けた薄切りの生姜。語源はその食感、ガリッガリとする歯応えからとの説。
 クサ :海苔のこと。「浅草海苔」の省略という説。
 シャリ :酢飯のこと。仏教語の舎利(飯)、サンスクリット語で米を意味する単語シャーリを語源とする。仏舎利の「舎利」は「肉体」を意味する別の単語で寿司とは無関係。
 ムラサキ :醤油のこと。醤油が高価であったため、高貴な色である紫を当てたと言う説。